ビーガン娘のイギリス生活記

「ロンドンに飽きた人は人生に飽きた人」は本当かを検証中のブロブです。

2022年に読んだ洋書28冊におすすめ順ランキングをつけてみた

 

コロナ以降に始めた洋書読書ですが、2022年もたくさん好きな洋書を読めた年でした。

 

年初めに立てた洋書読書の目標である20冊を大幅に超え、全部で28冊、合計10,361ページの洋書読書でした。

 

そこで今更ですが、2022年に読んだ洋書28冊におすすめ順ランキングをつけてみました。

 

28冊の洋書のうち、6冊は大好きなハリーポッターです。

今回も昨年同様にハリーポッターを除いた22冊の洋書を、ランキング形式でご紹介します。

 

 

1.サクソンストーリーズシリーズ(『ラストキングダム』原作)

迷わず第1位にランクインしたのは、『サクソンストーリーズシリーズ』です。

 

Netflixドラマ『ラストキングダム』の原作シリーズ全13巻で、バーナード・コーンウェル氏による9世紀のイングランド国家誕生を描いた歴史小説です。

 

主にサクソン人が住んでいたイギリスに、デーン人(バイキング)が侵略し、サクソン人とデーン人が攻防を繰り返していた時代。

 

当時イングランドにあった7つの王国はサクソン人の大国であったウェセックスを除き、デーン人の支配下になります。まさに、サクソン人の目から見たら、デーン人の支配下になっていないラストキングダム!

 

ここから実在した歴史上人物で、7つの王国を統一し「イングランド」というキリスト教徒のサクソン人の国家を築き上げることを夢見ていたアルフレッド大王が侵略してきたデーン人を撃退していきます。

 

サクソン人として生まれた主人公ウートレッドは、子どもの時にデーン人の捕虜となりデーン人として育てられます。

 

サクソン人として生まれ、デーン人として育てられたウートレッドが「運命」を信じ、イングランド誕生に貢献する物語です。

 

スリリングな物語である上に、史実に基づいているのが『サクソンストーリーズシリーズ』の面白いところです。

 

まるで大河ドラマを読んでいるよう。

 

ウートレッドのカッコ良さに恋に落ちながら、13冊一気に読んだ2022年一番ハマった洋書です。

 

 

2.『Beyond the Wand』byトム・フェルトン

『Beyond the Wand』は、映画ハリーポッターシリーズでマルフォイ役を演じたトム・フェルトン回顧録

 

ハリーポッター好きとしてはマルフォイを演じたトム・フェルトンの人生はとても興味があり、更にハリーポッターの撮影秘話なども書かれていると聞いたので、読んでみました。

 

実際に『Beyond the Wand』を読んでみると、「ハリーポッターファンだから楽しめた!」を超える本で、期待以上で正直びっくり。

 

ここまで正直に書くのか!と驚かされるところから本はスタートし、トム・フェルトンの人柄の良さがよくわかる本でした。

 

またハリーポッターの撮影を終えた後、まさにBeyond the Wand(杖の向こう)の人生の苦行には驚愕でした。子役から大活躍をして、世界中で認知されるほどの大スターであるからこそ経験したものでもありますが、感情面では一般人の私も共感できるものであり、誰もが心の奥底で抱えていることのようなことに感じました。

 

そんな困難を乗り越えた彼からの言葉には、何だか「大丈夫だよ」と優しく背中をさすってもらった気持ちにさせられました。

 

衝撃的でドラマのような彼の困難劇は、読んだ後消化するのに少し時間を要するほどでした。

 

ハリーポッターファンはもちろん、そうでない人も満足できる1冊です。

 

www.uklifejournal.com

 

 

3.『Girl With a Pearl Earing』

ヨハネス・フェルメールによる名画『真珠の耳飾りの少女』を題材にした小説で、2003年に映画化もされています。

 

以前に映画を観たことがあり、その映像美には魅了されたのは覚えていたのですが、ストーリーがいまいち掴めないという感想を抱いていました。

 

しかし、本は素晴らしかったです!

映画化されている本で映画の方がいいものに出会ったことがありませんが、この本もその一つ。

 

簡潔に書かれているのに大事な部分の情景がはっきりと目に浮かぶように書かれていて、どんどん物語にハマって行きました。毎日続きを読むのが楽しみな作品でした。

 

17世紀のオランダの様子が想像でき、1枚の絵から作られた物語だと思うと、絵のすごさも感じるうえ、物語が本当なのではないかという錯覚にさえ陥りました。

 

読者の想像力に任せる部分と細かな描写の組み合わせが絶妙に良い、素敵な作品でした。

 

 

4.『The Tattooist of Auschwitz』

『The Tattooist of Auschwitz』はアウシュヴィッツに収容された人たちに番号のタトゥーを入れていたユダヤ人収容者のLaleの実話が基となった物語です。

 

戦争系やアウシュヴィッツ系の物語はいつも気になっていたのですが、読むのに気持ち的余裕がある時でないとなかなか読み始められず、読みたいと思いつつも読むのが先延ばしになっていた本でした。

 

アウシュヴィッツの話なので、もちろん悲しく読んでいて辛い場面もたくさんありました。こんな事が事実として起こっていたのかと思うと、人間がここまでモンスターになれることに衝撃と悲しみを感じました。

 

しかし、この本ではアウシュヴィッツでのLaleとGitaの恋が描かれており、辛い状況下で生き延びようと未来を見つめていたことが書かれており、読んでいて気分が落ち込むだけのストーリーではなかったので、戦争物に苦手意識がある人でも読みやすい1冊だと思います。

 

Today is a good day because I woke up

 

1日先どころか数秒先に何が起こって殺されるかわからない生活をしていたLaleの言葉は重みがあり、生きていることに感謝し最大限に活かさなくてはと思わされました。

 

自分の命を守るだけでも大変な状況下で助け合って生き延びた彼らの人生は、本当に尊いなと思います。

 

戦後75年以上が経ち、経験者の生の声を聴ける機会が少なくなってきている中、後世に戦争の悲惨さと人類がどこまでモンスターになれるのか、その一方でどこまでSelflessになれる人もいるのか、と伝えてくれる大切な1冊だと思います。

 

 

5.『This way out』

『This Way Out』はロンドンでバングラデシュ系の家庭でイスラム教徒として育ったゲイの主人公が、白人のミドルクラスのボーイフレンドと婚約し、家族にゲイであることを告白する事から始まります。

 

イスラム教で同性愛が認められていないことは知っていましたが、この本を読むまでイスラム教内で同性愛がどのように扱われているのか想像をしたことがなく、読んでみて勉強になりました。

 

それと同時に、ロンドンでマイノリティーとして生活をしていて、白人のパートナーがいる自分と主人公を重ね合わせられる部分がいくつかありました。

 

パートナーに対して「あなたは白人特権で私が経験している嫌なことは経験したことがないんだよ」と攻めたり、自分の文化が意図的ではなくとも見逃されてしまっていることを実感したり、生まれ育った文化と生きている文化との2つの文化の間で生きている葛藤には同感し、主人公とともに自分を見つめ直すきっかけにもなりました。

 

『This Way Out』の作者の第一言語が英語ではないからか、文章の書かれ方がとてもストレートで、文章の深みや登場人物への深い繋がりは感じづらい本ではありましたが、映像を見ているような感じで軽い気持ちで読める本でした。

 

洋書読書初心者にもおすすめです。

 

 

6.『In Your Defense:Stories of Life and Law』

『In Your Defense:Stories of Life and Law』は弁護士が実際に担当したケースについて書いた本です。

 

本の初めにも書かれている通り、弁護士のお仕事はいろんな人の人生を目にすることが出来る面白いお仕事だなと思わせてくれる1冊でした。

若い時にこの本に出合っていたら、弁護士という職業にもっと興味を持ち、将来の選択肢の1つに入れたかもしれないと思うほどです。

 

法という「正しい」と思われているルールの下に平等に判断が下されていることの凄さを感じるとともに、裁判官などは人の人生を大きく揺るがす大変は仕事だなと改めて思いました。

 

また、正悪をはっきりと見つめ、「正義」とは何なのだろう、と正義を突き通したい人には弁護士は歯がゆい仕事でもあるようにも感じました。正悪ではなく自分が代理をしている人が主張したいことだけに集中しなくてはいけないことは、弁護士の本望なのだろうか、、、とも考えさせられます。

 

 

7.『Hamnet』

『ハムネット』は、ウィリアム・シェイクスピアの亡くなった息子の存在から着想を得た、マギー・オファレルのベストセラー小説です。

 

歴史小説が好きなので、ずっと読むのを楽しみにしていた1冊。

 

しかし、実際に読んでみると、"I've never read any books that so few things happen"が読んでいる際の正直な感想でした。

 

綺麗で素敵な文章もあるのですが、長く説明されているだけに感じる場所が多く、話がなかなか進まないという印象を与えられる箇所が多かった気がします。

英語の美しさをもっと楽しめるレベルになれば、より面白く感じる本なのかもしれません。

 

作中シェイクスピアの名前を一度も使わず、彼を「夫」「父親」「息子」など、場面に合わせて表現しているのは、面白いなと思いました。

 

シェイクスピアと妻アンの人生が想像できた点では面白かったのですが、作品内でキャラクターにあまり感情移入が出来ない作品でした。

 

 

8.『Crying in H mart』

オバマ元大統領も気に入った1冊でもあり、ベストセラー小説でもある『Crying in H Mart』

 

アメリカ人と韓国人の間に生まれた20代の女性が、韓国人であった母親が癌を患ったことで、自分のルーツなどを考えていくメモワール(回顧録)です。

 

『Crying in H Mart』はすごく有名で評判が良かったので、すごく高い期待値を持って読んだ本です。

 

アジア人の母親を持つという共通点から愛情の表し方や注がれ方に共感が出来たり、改めて母親への愛情を思い出させられました。

 

また、もし将来自分がこのまま海外に住み続けることになったらと、作者の母親と自分の将来を重ねてみたりもしながら読み進めていました。

 

身近で大切な人を亡くした経験のある人にとってはとても響く作品だと思ったのと同時に、自分が将来経験するかもと思うと辛かったです。私にとってはこの本に出会ったのは、もしかして私の今の人生のステージには早すぎたのかもしれません。

 

大人になって母親と離れて住むようになり、自分の中にどれだけ母親が反映されているのかと意識するようになってきたところですが、そのすごさや偉大さが愛おしくも誇らしくも感じさせてくれる1冊でした。

 

そして何より、韓国料理がたくさん出てくるので、韓国料理がものすごく食べたくなる1冊でもありました。

 

 

9.『Capital』

『Capital』はロンドンのとあるストリートに住んでいる人々や、そのストリートに関係する様々な人の人生を垣間見れる1冊です。

 

最初の1/4くらいまでは特にとても面白く、早く続きが読みたいと本を置くのが難しかったのですが、終わりに盛り上がりがなかったのが残念ポイントでした。

 

多種多様な人が暮らすロンドンのとあるストリートが舞台なので、もっと色々なことが起こったり、複雑に絡まりあうストーリーにも成りえると思ったのですが、期待通りにはいかなかったのが残念でした。

 

それでも、本当に多種多様な人がロンドンに住んでいることがわかり、それぞれ面白い人生を送っていることを、少しのサスペンスを挟みながら物語で伝えてくれる『Capital』は読んでいて面白かったです。

 

 

10.『Wild: A journey from Lost to Found』

若くして母親を亡くし、結婚と離婚を経験し、人生の全てを失ったと感じていた女性が、バックパックを背負いトレイルを歩きながら人生を振り返るメモワールです。

 

全くのハイキング初心者の筆者が遭遇・体験したトレイルでの物語と、人生の全ても失ったと感じている彼女の過去を振り返る物語が並行して語られます。

 

何か人生の困難などにぶちあったた時や、それらを乗り越えられなかった時に、今まで背負ってきた良い物も悪い物も全部振り落とし旅に出る物語。

 

そういった類の物語が好きな人は、面白いと感じると思います。

 

私の中では、そういった類の物語がたくさんある中で、この本が飛びぬけて他の本から

区別される要素を見つけるのが難しかったです。

 

そうは言っても、心の奥底にある「すべてを捨てて旅に出たい!」というなかなかかなえられない願望を、この本を読むことで叶えられたり、彼女の過去を訪れ垣間見れるのは面白いと感じました。

 

 

2022年洋書ランキング

2022年に読んだ洋書全28冊に、おすすめ順ランキングをつけてみました。

 

どの本も面白く、途中で読むのを辞めてしまいたいと思った本はありません。

 

2023年も2022年に引き続き、多くの素晴らしい作品に出会いたいなと思っています。

 

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