イギリス生活記

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『The Iron Lady』マーガレット・サッチャーの伝記【英語多読・洋書レビュー】

『The Iron Lady』マーガレット・サッチャーの伝記【英語多読・洋書レビュー】:plain

 

Netflixドラマ『ザ・クラウン』にはまり、『ザ・クラウン』のシーズン4でイギリスの元首相マーガレット・サッチャーが多く描かれていることから興味がわき、マーガレット・サッチャーについての伝記『Iron Lady』を読んでみました。

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1980年代にイギリスの首相を務めたマーガレット・サッチャー

私は本を読むまで、1980年代にして女の首相がイギリスにいたとはすごいな、というくらいにしか思っていませんでした。日本では現在でも女性の首相が誕生することはまだまだ考えられない後進国なのに、、、と思っていました。

 

また、マーガレット・サッチャーはとても有名なのに、なぜイギリス内ではこれほどまでも彼女に対する意見が極端に分かれるのだろうと思っていました。

まるで、「Love it or Hate it」でお馴染みのイギリスの食べ物マーマイトのようなマーガレット・サッチャー。一体どんな人物でどんな政治家なのだろう、と思っていました。

 

マーガレット・サッチャーはたまたま女性であっただけ

 1980年代にしてイギリスでは女性の首相がいたのは、ジェンダーイコーリティー後進国の日本出身の私からしてみるととてもすごいことの様に感じていました。

 

しかし、この本『The Iron Lady』を読んで本当に男女平等だったんだなと感じました。

なぜなら、マーガレット・サッチャーは女性であることを理由に、もしくは女性を代表してイギリスの首相になったわけではないからです。マーガレット・サッチャー本人も言っていたように、彼女は「たまたま女性であった」だけなのです。

 

もちろん、マーガレット・サッチャーは女性であることで、「家計のお金の使い方が分かる→国費の使い方がわかる」といった選挙戦略も使ったことは事実です。

しかし決して、「今まで力のなかった女性が今こそ立ち上がる時だ」と女性を味方にして首相の座を勝ち取ったわけではありません。

 

むしろ女性贔屓をせず、彼女の内閣にはほぼ女性がいませんでした。

 

「女性だから」ということで何かを阻害されたり、優遇されたりしていない世の中が1980年代のイギリスにはあったことに驚きました。日本にはいつそのような時代が訪れるのでしょうか。。。

 

キリスト教徒は資本主義?共産主義

 『The Iron Lady』の中で、一番印象に残り考えさせられたのは、キリスト教徒は資本主義なのか、共産主義なのか?ということです。

 

マーガレット・サッチャーがイギリスの首相を務めていた時期は、冷戦真っただ中です。サッチャー共産主義を徹底的に嫌い、彼女の政策のほとんどは反共産主義でした。

 

なぜ、そこまでマーガレット・サッチャーは反共産主義だったのか?

それは、彼女が敬虔なキリスト教徒だったためです。

 

マーガレット・サッチャーは20世紀にイギリスの首相になった人物の中で、1,2を争う程の敬虔なキリスト教徒だったそうです。

 

私は敬虔なキリスト教だったのなら、みんなが困らず生活できるように助け合えるような社会を目指すものなのかなと思っていました。共産主義とまではいかなくとも、反資本主義的な考え方に至るのかと。

 

しかし、マーガレット・サッチャーは敬虔なキリスト教徒であったがために、徹底して資本主義をサポートしたのです。

キリスト教徒の教えでは、豊かで余裕のある人は貧しい人に手を差し伸べるとされています。そのため、マーガレット・サッチャーの考えでは、資本主義を突き通し、裕福になった人が貧しい人を助けられれば素晴らしい世の中になるといった考えでした。

 

こう考えると、キリスト教徒だとしてもどちらの考え方に行きついてもおかしくないなと思いました。きっと宗派によっても考え方が異なってくると思いますが、キリスト教徒の方に資本主義をサポートするのか、共産主義をサポートするのか聞いてみたくなりました。

 

洋書『The Iron Lady』

 マーガレット・サッチャーという人物に興味がわき読んでみた洋書『The Iron Lady』。

 

マーガレット・サッチャーの生涯を知ることのできる素晴らしい1冊でしたが、かなり難しい1冊でした。政治に関する英単語も多く出てき来るうえ、イギリスの政治に関する基礎知識や当時起こった歴史的出来事などの予備知識がないとかなり難しい1冊です。私も読破するのにかなりのエネルギーと時間を費やしました。

 

ネイティブ、特にイギリス人向けに書かれた伝記でした。

 

難しく理解のできていない部分も多くあるとは思いますが、どうしてこれほどまでマーガレット・サッチャーに対する評価が二極化するのかなんとかく分かった1冊でした。