ビーガン娘のイギリス生活記

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『パチンコ/Pachinko』在日コリアンの人生を描いた本【洋書多読・洋書レビュー】

『パチンコ/Pachinko』在日コリアンの人生を描いた本【洋書多読・洋書レビュー】:plain

 

コリアンアメリカンである作者ミン・ジン・リーさんによる『パチンコ/Pachinko』の原作を読んでみました。

 

作者はコリアンアメリカンであるものの、物語は4世代の在日コリアンの人生を描いた歴史小説です。

 

2017年にニューヨークタイムズが選ぶ2017年のベストブック10冊に選ばれ、オバマ元大統領や、ハリーポッターシリーズでハーマイオニー役を演じたエマ・ワトソンも絶賛した1冊です。

 

アメリカを中心に世界中で100万冊以上が売れた本であり、在日コリアンの方についての書かれた本なので、日本人である私にとってきっと読んでみて受け取れるメッセージがあるだろうと思い、読んでみました。

 

日本で一緒に生活している方々のことでもありながら、その心情は想像したことのないことばかりで、小説ではあるものの、読んでよかったなと思う1冊でした。

 

 

『パチンコ』あらすじ

日本が韓国併合をした頃から、第二次世界大戦、そして戦後1989年までの間を生きた、4世代の在日コリアンの人生を描いた作品です。

 

1930年代朝鮮半島南の漁村の宿屋の娘ソンジャは、ハンスという名の男性と出会い恋に落ちます。ソンジャはハンスの子を身ごもり、そのことをハンスに伝えるとハンスには日本に妻と3人の娘がいることを伝えられます。

 

ソンジャは未婚で身ごもったことを恥じていましたが、宿に宿泊していてこれから大阪へ向かうという男性イサクがソンジャに手を差し伸べました。

 

イサクはソンジャを連れて彼の兄が住む大阪へ引っ越し、ソンジャとハンスの子供を自分の子どもの様に育てます。

 

朝鮮半島から日本へ引っ越したイサクとソンジャ、そして子どもたちや孫たちの在日コリアンとしての苦悩が描かれています。

 

 

『パチンコ』感想

国際関係や日本に住む日本人でない方、マイノリティーである方についても日本の大学で学んでいた私ですが、正直この本には衝撃を受けました。

 

戦前に日本に来ていたり、日本で生まれていたり、自分だけでなく親ですら日本で生まれているにも関わらず、ずっと付きまとってくる「在日」という言葉と偏見と差別。

 

いくら日本に住んでいて日本しか知らない人でも、「在日」というレッテルからは抜け出さず、いつまでたっても「日本人」にはなれない、「外者」として生きている方々の苦悩に、読んでいて胸が苦しくなりました。

 

日本は「単一民族」の国だとよく聞きますが、本当に単一民族の国ではなく、単一民族であるために、外と内を区切り、ただ受け入れてこなかった、受け入れられなかっただけなのではないかと感じました。

 

「在日」という言葉はたまに耳にしていましたが、日本に来てから何世代も経っているので、言葉だけが残っているものなのではないかと思っていました。

 

しかし、私が思っていた以上に「在日」の方は「在日」というアイデンティティを持って、持たされて、日本で生活しているんだろうと思いました。

 

歴史的背景をみると、そもそも日本が韓国併合をしたにも関わらず残念です。

 

いろいろ感じさせられ、考えさせられた、素晴らしい1冊でした。

 

洋書『Pachinko』の英語レベル

洋書『パチンコ/Pachinko』の英語レベルは、それ程難しくないと感じました。難しい英単語もあまり使われていないといった印象です。

 

戦時中や戦後のことなどが描かれてはいますが、日本での現代の生活の様子が描かれているので、状況・情景が想像しやすかったです。

 

ただ、ページ数が490ページにも及ぶ作品の為、英語を読むことに慣れていない方には大変かもしれません。

 

しかし、ある程度英語が読める方で洋書を読破して自信をつけたい方には、それ程難しくない英語で書かれていますし、ストーリーもよく、長い作品なのでとても良い1冊かと思います。

 

私もスラスラとこの長い1冊を読むことができて、洋書読書への自信が付き、洋書に対するハードルが下がりました。第二言語の英語、洋書でも読書が楽しめるという喜びを味わうことができました。

 

 

さすがベストセラー小説だけあり、ぜひ多くの方に読んでみてほしい1冊です。

日本語版も話題になっています。洋書ではなく、日本語で読んでみたい方にもオススメです。