ビーガン娘のイギリス生活記

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『Home Stretch』グラハム・ノートンが書いた小説【洋書レビュー・英語多読】

『Home Stretch』グラハム・ノートンが書いた小説【洋書レビュー・英語多読】:plain

 

次は何の本を読もうかな~とKindle Daily Dealでその日限りで安くなっている本をチェックしていたら、イギリスで「グラハム・ノートン・ショー」というコメディー番組で有名なグラハム・ノートンさんが書いた本が値引きされていました。

 

グラハム・ノートンさんはアイルランド出身のコメディアンで、俳優業やプレゼンターとして主にイギリスで活躍されています。私も好きなコメディアンです。

 

そんなグラハム・ノートンさんが本を出版されているとは知りませんでした。しかも、小説です。一体どんな小説を書かれているんだろうと気になりましたし、レビューも高評価だったので読んでみました。

 

『Home stretch』

今回読んでみたのは、アイルランド出身でイギリスで活躍されているコメディアンのグラハム・ノートンさんによる3冊目の小説『Home Stretch』です。2020年に発売されました。

 

イギリスの新聞社「The Sunday Times」が選出している「The Sunday Times ベストセラー」にも選ばれた一冊です。「The Sunday Times ベストセラー」はイギリスで最も古く、そして影響力のある本の売り上げチャートと言われています。そこに選出された『Home Stretch』は、作者がグラハム・ノートンさんだということを除いても、いい本だと言えるかと思います。

 

実際にいろいろな本の評価サイトで実際に星5つ★★★★★や、4以上を獲得しています。

 

『Home Stretch』あらすじ

『Home Stretch』の物語は1987年アイルランドのある田舎町から始まります。

 

小さな町では翌日に控えた結婚式で慌ただしくしている人が多い中、新郎と新婦を含めた若者グループが交通事故にあったというニュースが飛び込んできます。無事3名が生き残りましたが、生憎3名の命が奪われてしまった事故です。

 

事故で子どもをなくして悲しんでいる家族がいる一方、事故から生還し車を運転していた子どもの家族は小さな町ならではの生きづらさを感じています。

 

そんな生き辛さから事故を起こした車を運転していた少年は、小さな町を出てリバプールで働く事になりました。

 

ある事情からリバプールで働いている少年は実家と連絡を取れなくなります。それから数十年、ニューヨークにいる事が家族の耳に入ります。

 

事故から数十年、アイルランドの家族に会いに戻って来たら男性。事故当時の真相が明らかになり、その後の彼や彼の家族の生活が描かれています。

 

『Home Stretch』を読んだ感想

コメディアンのグラハム·ノートンさんが一体どんな小説を書くのだろうと思っていたら、彼らしい一面を沢山垣間見れる1冊でした。

 

本にコメディアンの部分は反映されていませんが、アイルランドの田舎の情景や、ゲイである彼がもしかしたら見たり·経験したであろうこと若い頃にアメリカに滞在していた時に恐らく見た光景などが含まれているのかと思います。

 

『Home Stretch』の最初の1章は登場人物がとても多く、これだけの登場人物を追って読んでいけるのか不安になりましたが、その後徐々に物語が事故を起こした少年とその姉に絞られていくので、心配はいらなかったです。

 

小さな町での、しかも結婚式を前日にした新郎新婦が亡くなった交通事故。小さな町で大事件がどのように取り扱われたのか、人間ドラマが明確に描かれていました。

 

時間が行ったり来たりする書かれ方ですが、章のタイトルが年号になっているので、物語の順序に困惑することはなかったです。

時間が行ったり来たりする理由は、事故の様子が徐々に解き明かされていくためでした。事故当時一体何があったのか、気づかぬ間に徐々に物語上で解明されていくので、読み進めるのがとても楽しかったです。

 

グラハム・ノートンさんならではのホモセクシャルの話が、80年代のカトリック教徒の多いアイルランドの田舎町から始まり、現代のニューヨークまでつながり、時代や場所によって認識の違いや受け入れられ方の違いについても考えさせられる1冊でした。

 

数十年で世の中だいぶ変わったな、色々な生き方が受け入れられる様になったな、と感じられる本でもありました。

 

最近読んだ本の中で、かなり上位にランクインする程とてもいい本でした。コメディアンで有名なグラハム·ノートンさんがこんな素晴らしい本を書くとは知らなかったです。

 

『HomeStretch』は彼の3冊目の本なので、他2冊もぜひ読んでみたくなりました。