ロンドンのウェストエンドと言ったら、ミュージカルと演劇!
演劇鑑賞は少しハードルが高いかなと思ったのですが、好評の演目があったので初演劇鑑賞をしてきました。
- 『Touching the Void/運命を分けたザイル』
- 映画版『運命を分けたザイル』
- 演劇『Touching the Void』ロンドン公演情報
- 『Touching the Void』の登場人物
- 『Touching the Void』のストーリー
- 『Touching the Void』の見どころ
『Touching the Void/運命を分けたザイル』
今回私が鑑賞してきたのは、『Touching the Void/運命を分けたザイル』という題目の演劇です。
二人のイギリス人が人類未踏のアンデス山脈のルートに挑戦した際の雪山での事故と、九死に一生の奇跡の生還を果たした実話をもとにして作られた映画『Touching the Void/運命を分けたザイル』の演劇版です。
今回の『Touching the Void/運命を分けたザイル』の演劇公演は、イギリスの新聞社である「The Guardian」「The Times」「The telegraph」など各紙から揃って5つ星の評価を得ている、大注目作品です。
映画版『運命を分けたザイル』
『運命を分けたザイル』の映画版は、2003年にイギリスで制作され、2005年に日本でも公開されました。
映画版では再現映像に加えて、本人へのインタビューを合わせたドキュメンタリー映画となっています。
英国アカデミー賞や、英国インディペンデント映画賞を受賞しており、イギリスのドキュメンタリー映画で最も成功した作品と言われています。
演劇『Touching the Void』ロンドン公演情報
演劇版『Touching the Void』は、2018年9月にイギリスのブリストルにて世界初公演されました。
そこでの成功によって、イギリス国内ツアーを行い、そしてロンドン・ウェストエンドでの公演が始まりました。
ロンドン・ウェストエンドでの公演情報です。↓
期間:2019年11月9日~2020年2月29日
場所:ロンドンDuke of York's Theatre
料金:15.00~85.00ポンド(手数料別)
『Touching the Void』の登場人物
『Touching the Void』の登場人物は4名のみです。
- ジョー:雪山を登山中に足を骨折し、クレバスから落下した
- サイモン:ジョーの登山パートナーで、一緒に人類未踏のアンデス山脈のルートに挑戦していた
- リチャード:ジョーとサイモンと出会ったバックパッカーで、ジョーとサイモンが人類未踏のアンデス山脈に挑戦している際にベースキャンプを見守っていた
- サラ:ジョーの姉で登山のことはさっぱりわからない
『Touching the Void』のストーリー
演劇版『Touching the Void』はジョーがクレバスに落ち、亡くなったため、ジョーの姉のサラがその亡くなったアンデス山脈の近くにジョーのクライミングパートナーであったサイモンと、ジョーとサイモンがクライミング中にベースキャンプで待機していたリチャードに話を聞きに来たところから始まります。
サラは登山について全く知らず、どうして危険な思いをして登山をするのか?、ジョーの身に何があったのか、サイモンとリチャードに問いただします。
サイモンがサラに、なぜ登山をするのか、ジョーの身に何が起こったのかを説明するのが、演劇版『Touching the Void』の前半です。
サイモンとジョーが実際に登山をしている様子を二人が演じながら、それをサラとリチャードが俯瞰的に見ていて、リチャードがその登山の様子を登山について何もわからないサラに状況を説明する形で話が進んでいきます。
サイモンとジョーは無事に人類未踏のアンデス山脈のルートを登り終えたのですが、下山途中にジョーは足を骨折してしまいます。骨折したジョーを一本のロープで自分の体につないだサイモン。
初めは順調に下山していたものの、ジョーがクレバスに落ちてしまいます。一本のロープで結ばれ、ジョーを支えるサイモンでしたが、ジョーに声をかけても返事がなく、吹雪の雪山でロープ一本でジョーを支え続けるにも限界が来ます。
自分の身の危険も判断し、サイモンは苦渋の選択でジョーと自分を繋ぐ1本のロープを切りました。
後半はジョーに焦点が当てられて話が進んでいきます。
ジョーがクレバスに落ちた後、どのように生還したのかが描かれます。
『Touching the Void』の見どころ
雪山を舞台上に演出
『Touching the Void』の演劇の宣伝を見た時にまず思ったことは、どうやって雪山での事故を舞台で演出するのだろう、、、?です。
限られたスペースで大自然の山、しかも雪山を表現できるのだろうか?と、その表現方法を観るのが楽しみでした。
実際に観てみると、舞台セットは至って簡単。ミュージカルのような大掛かりな舞台セットでもなく、シンプルなものでした。
雪山は鉄格子に障子紙のような紙を貼って表現されていました。鉄格子と紙でできた雪山のセットが宙につらされて、そこをうまく表現しながら登っていました。
雪山を登るため、ピッケルを氷に引っ掛ける音がピッケルで紙を破る音で表現されていて、お金がかかっていないのに、臨場感がありました。
また、宙につるされている雪山以外にも、劇場の高さを利用してクライミングをするシーンがあり、限られたスペースをうまく工夫して利用されていました。
迫真の演技
劇前半の雪山のシーンもそうですが、特に後半のジョーがクレバスの底を這いつくばってベースキャンプまで奇跡の生還をするまでのシーンは、迫真の演技でストーリーに引き込まれました。
舞台の後半のほとんどはジョーの生還までの様子をほぼ一人劇、もしくはジョーの頭の中に現れるジョーの姉サラとジョーの二人での演劇です。
舞台設定が大きく変わることがないにも関わらず、ストーリーにどんどん取り込まれていったのは、ジョーの迫真の演技が素晴らしかったからだと思います。
友情と命の判断をするストーリー
ロープ1本で結ばれたサイモンとジョーの命。
サイモンが自分とジョーを繋ぐロープを切るかの決断は、苦渋の決断です。
1時間半もの間、吹雪の雪山で自分の腰から繋がったロープジョーの全体重がのしかかった状態で、サイモンはジョーを引き上げようと踏ん張ります。
しかし最終的にはこのロープを切らなくては、自分の命も危険になります。ロープを切るということはジョーを殺すのとも同じこと。サイモンにとっては辛い決断ですが、プロのクライマーとしてサイモンがジョーと自分を繋ぐロープを切るシーンは感動的でした。
ジョーの生還が気になるストーリー
舞台の始まりは、ジョーのお葬式のために姉のサラが南米までやってくるところから始まりますが、実際にはジョーがどのように生還したのかが舞台の後編で描かれています。
足を骨折した状態でクレバスに落ち、どのように生還したのかが気になり、ストーリーに全く飽きません。
登山について知らなくても大丈夫
物語の前半は特に、登山について何も知らないサラに説明をする形で進んでいきます。
なので、登山について何も知らなくともわかるように説明してくれるように話が進みます。登山について知らないことばかりの私でも、十分に楽しむことができました。
男性同士、カップルにもオススメな演劇
多くのミュージカルの観客は女性ですが、この『Touching the Void/運命を分けたザイル』の観客の半数以上が男性でした。
雪山登山についてということで、男性客に人気のストーリーだと思います。
普段ミュージカルや演劇を見に行かない男性や、彼氏や旦那さんとミュージカルや演劇を見に行きたいけど彼があまり興味がなくて、、、といった方にオススメです。
英語での初演劇鑑賞でどこまで理解できるか不安でしたが、大好評の演目『Touching the Void/運命を分けたザイル』だけあり、十分に楽しむことができました。
初めて観た演劇が『Touching the Void/運命を分けたザイル』だなんて、これから観る他の演劇へのハードルが上がっちゃいそうなくらい素晴らしい作品でした。
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