イギリス生活記

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「ウィンドラッシュ事件」BBCドラマ『Sitting in Limbo』を観てBLMについて考える

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BBCで放送されているドキュメンタリードラマ『Sitting in Limbo』を観ました。実際にイギリスで起こった移民差別や人種差別に驚愕しました。

「Black Lives Matter」問題が大きく取り上げられている今「ウィンドラッシュ事件」を描いたBBCドラマ『Sitting in Limbo』を観て、感じたことです。

 

「ウィンドラッシュ事件」を知らない方、「Black Lives Matter」に関連することを少しでも知りたい方に是非観ていただきたいドキュメンタリードラマです。

 

 

 

 

 

ウィンドラッシュ世代

 第二次世界大戦後、アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、オランダを主に、北米やヨーロッパの国々が、世界大戦で失った労働力を補うために、アフリカやカリブ海の国々から労働者を招き入れました。

 

イギリス政府も植民地国やイギリス連邦コモンウェルス)の国々から労働力を補うために、1948年に新しい法案を作成しました。その法案ではイギリスと植民地国に住む住人にイギリス国籍を与え、イギリスに入国し、住み、働ける権利を与えました。

 

オーストラリアから出発をして、ジャマイカ経由で「ウィンドラッシュ号」は1948年6月22日にロンドンの近くに到着しました。これが、イギリスへの第二次世界大戦後の移民受け入れ政策の始まりです。

 

1948年から1973年までの間にカリブ海から多くの移民がイギリスにやってきます。これが「ウィンドラッシュ世代」です。

 

 

ウィンドラッシュ事件

第二次世界大戦で失った労働力を補うために、カリブ海から多くイギリスにやってきた「ウィンドラッシュ世代」に対して、イギリス政府が行った不当な拘置や、強制送還などがウィンドラッシュ事件です。2018年にウィンドラッシュ世代を不法滞在者として、不当に拘置し、強制送還するという政治スキャンダルがイギリスで実際に起こっていたのです。

 

ウィンドラッシュ世代の人々は、イギリス政府に招かれて合法でイギリスに滞在しています。そしてウィンドラッシュ世代の人々の多くは人生のほとんどをイギリスで過ごしています。

 それにも関わらず、イギリス政府は移民対策を強化する中で、ウィンドラッシュ世代の何人かを不法滞在者として扱い、実際に拘置所に入れ、強制送還しました。こういったウィンドラッシュ事件は少なくとも83件報告されています。

 

 

 

BBCドラマ『Sitting in Limbo』

 BBCによるドキュメンタリードラマ『Sitting in Limbo』は、実際に「ウィンドラッシュ事件」に巻き込まれた人から話を聞き、作成されました。

 

パスポートを更新しようと思い申請をしたことをきっかけに、5歳の時にジャマイカから母親に連れられてイギリスにやってきた男性が、突如拘置所に連れられ、ジャマイカへ強制送還寸前まで追いやられてしまった事実が描かれています。

 

5歳の時にジャマイカからイギリスへやってきたので、彼は人生の覚えている限りほとんどをイギリスで過ごしています。そして、パートナーも子供も、孫もイギリスのパスポートを持って、イギリスで一緒に生活をしています。

 

「ウィンドラッシュ世代」として、言ってみればイギリス政府に招かれてイギリスにやってきて、人生のほとんどをイギリスで生活し、自身もイギリス人だと思っていたにもかかわらず、ある日突然不法滞在の疑いをかけられてしまいます。

不法滞在の疑いで仕事はクビになり、また不法滞在でないことを証明するために、いろいろな証明できる書類の提出を求められます。50年以上イギリスに当たり前のようにイギリス人として生きてきたにも関わらず、突然なんの説明もなしに不法滞在者として、拘置され、強制送還の寸前まで追いやられてしまい、人生をめちゃくちゃにされてしまったことが描かれています。

 

 

「ウィンドラッシュ事件」からBLMについて考える

 「ウィンドラッシュ事件」を描いたドキュメンタリードラマ『Sitting in Limbo』で、不当に不法滞在扱いされた男性が、裁判でイギリスに住む権利があることを訴えているシーンでこんな言葉が出てきます。

 

「もしあなたが黒人出なかったら、このような扱いを受けなかったと思いますか?」

 

まず、イギリスでは移民をよく思わない人がいることはBrexitが起こった事でも察しがつきます。「ウィンドラッシュ事件」もそんな移民をよく思わない、自国の国民の権利を優先したことから起こった事だと思います。

 

しかし、「ウィンドラッシュ事件」は単に移民を快く思わない、だけではない問題だったと思いました。ウィンドラッシュ事件で被害にあわれた方はれっきとしたイギリス人です。人生の覚えている限りの大半をイギリスで過ごし、家族も生活も仕事も家も、すべてがイギリスにありました。イギリス人として育ち生活をしてきたにもかかわらず、さらには元々はイギリス政府に招かれてイギリスにやってきた方です。それにも関わらず、不当な扱いをされたのは、やはり肌の色が関係していたと感じている方が多くいます。

 

Black Lives Matterの声が上がり始めた時に、「アジア人も差別を受けているのに、それに対して立ち上がる人はいない」といったような声もありました。それを聞いたときは、確かにと感じましたが、よく物事を見てみると、一緒にはできない問題だと思いました。

 

黒人の方が受けてきた差別の歴史と、受けてきた差別の度合いは、他の人とは比べ物にならないものだと思います。

そのことを強く感じさせられたドキュメンタリードラマ『Sitting in Limbo』は、歴史を知る中で、イギリスを知る中でとても重要で、多くの方に是非機会があれば見ていただきたいと思いました。

 

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