イギリスがコロナウイルスでロックダウンになり、出かけられずお散歩しかすることがなかった2020年の11月から、ロンドンに住んでいた偉人達のお家をめぐる「ブループラーク巡り」を始めました。
ロンドンの歴史を感じられる場所をたくさん歩いて、多くの発見があるとっても楽しいアクティビティでした。
ロンドン中心部からちょっと離れる郊外のブループラークまでは足を運べまていませんが、ロンドンにあるブループラークすべてを歩いて回ったので、折角なので自分のための記録もかねて、ご紹介したいと思います。
このブログ記事ではブループラーク巡りのまとめを、そして今後少しづつ実際にブループラーク巡りで巡ったお家をご紹介していけたらなと思っています。
- 「ブループラーク」って?
- ブループラークに載る人はどんな人?
- ブループラーク巡りをして発見したイギリスとロンドンの特徴
- ブループラーク巡りをしてみて
- ブループラーク巡りの仕方
- ブループラーク巡り:まとめ
「ブループラーク」って?
ブループラークとは著名人が住んだ場所や歴史的な事件が起こった場所を記念して、歴史を残すために記されたマークです。最初のブループラークは1867年に取り付けられ、ブループラーク自体にも長い歴史があります。
ブループラークは通常、青い丸いマークに白字で誰のプラークなのかが書かれています。しかし、古いものは緑や茶色であったり、丸いではなく四角いプラークなこともあります。
もともとブループラークはロンドン・カウンティ・カウンシルやグレーター・ロンドン・カウンシルなどの行政が管理を行っていましたが、現在はEnglish Heritageによって管理されています。
これらのブループラークが公式なものとされていますが、いろいろな協会が作成しているものや全くの偽物もあります。
現在English Heritageによって管理されているロンドンにある公式なブループラークは950以上です。毎年申請審査を通過して、20~30の新しいブループラークが追加されているそうです。
ブループラークに載る人はどんな人?
ブループラークは歴史上の有名な人物を記念したものですが、有名なとは?といったことろが気になるところかと思います。
職業で言うと、芸術家や作家、政治家、ミュージシャン、俳優、発明家、探検家、ロイヤルファミリーなど様々です。
しかし現在English Heritageが管理していて新しく作られるブループラークは、死後20年以上経っていないといけないという規定があります。そのため、最近亡くなった方やご存命の方の公式ブループラークはありません。
1950年以降はブループラークになる人物の重要な条件に「社会にポジティブな影響を与えた人物」が加わりました。社会にいい影響を与えた人物とは何とも難しい規定なような気もします。
また、この重要な規定ができる前に取り付けられたブループラークは、奴隷制度に賛成していた人などブループラークに名前が刻まれ記念する価値のある人物なのかという人物のブループラークも存在します。
ブループラーク巡りをして発見したイギリスとロンドンの特徴
ロンドンにある900以上のブループラークを歩いて巡ってみたからこそ気が付いた、イギリスの歴史に関する発見をここにまとめます。
ユダヤ人を受け入れたイギリス
ブループラーク巡りをしてみると沢山のイギリス人っぽくない(イギリスにとって)外国人の名前のブループラークに出くわします。
もちろん、ガンジーや夏目漱石といった人物のブループラークもあるのですが、ヨーロッパ圏らしい名前でイギリスらしい名前でない場合の9割はイギリスに移民としてやってきたユダヤ人の方でした。
第二次世界大戦前に移住して来た方もいましたが、多くは第二次世界大戦中のナチス軍から逃れるためにイギリスにやって来たユダヤ人です。
ユダヤ人の方が必死に逃れて来た事、イギリスがユダヤ人を受け入れた事を感じさせられます。今は移民に厳しめなイギリスですが、命の危険がある人々を物理的に受け入れるだけでなく、イギリスでも活躍し続けられる様な環境にしていたと思うと、イギリスを第二の故郷の様に思っている私は少し誇らしくなりました。
イギリスで色々なものが発達して発明されたのは、早く産業革命が起こったからだけではなく、色々な移民の方を受け入れて、そういった方々が活躍した事も大きいのかなと思います。
イギリスが大英帝国だった事が感じられる
ブループラーク巡りをしていて感じられたイギリスの特徴の2つ目は、大英帝国の名残がある事です。
「日の沈まぬ国」と呼ばれたイギリス。
ブループラーク巡りをしてみると大英帝国を築き上げた名残を凄く感じられることが出来ました。
なぜなら、イギリスから独立した国々の初代大統領や首相の多くが国を独立させる前にイギリスに住んでいて、そういった方のブループラークがロンドンで沢山見かける事が出来るからです。
インドやマリ、イスラエルなどの初代首相は自国のイギリスの独立前にイギリスに留学や滞在していました。その際住んでいた家にブループラークが取り付けられています。
イギリスが大英帝国であった事を感じさせられるブループラークです。
結核の療養にはハムステッドヒース
ブループラーク巡りをしてみたことにより、同じロンドンでも地域によって特徴があり、それぞれの地域にどういった人が多く住んでいたのかを発見する事が出来ました。
画家が多い地域や作家が多い地域、天文学者が多い地域などがありました。
それぞれの地域の特徴を発見した中で一番面白かったのが、ハムステッドです。
ハムステッドにはハムステッドヒースと呼ばれる広大な自然保護区があります。そのため、ハムステッドヒース周辺にあるブループラークの7割ほどは本人もしくは家族が結核を患ってしまい、新鮮な空気の場所で生活する為に引越して来た人たちでした。
結核がどれだけ大変な病だったかも思い知らされますが、自然を求める力の強さに驚きです。
ブループラーク巡りをしてみて
ブループラーク巡りを実際にしてみて感じたことです。実際に歩いて巡って見たからこそ感じられた正直な感想です。ここに私が書くことに対して、「あ、それ面白そう!」と思うことが多ければ多いほど、ブループラークウォーカーになるポテンシャルが高いと思います!
なんと言っても歴史を感じられる
歴史的な場所と現在を繋げる目的のあるブループラークだけあり、ブループラーク巡りをするとロンドンの歴史を感じられます。
例えばジョン・レノンとヨーコ・オノが住んだ家や、ナポレオン3世が住んだ家など、今私が立って目の前に見ているお家に、あんな歴史上の素晴らしい人が住んで生活をしていたのかと思うと、鳥肌モノです。
普段歩かないロンドンを歩ける
歴史上の有名な人が住んでいたお家に付いているブループラークを巡るので、多くの場所は住宅街です。またブループラークはロンドンに満遍なくあり、観光で行かない場所を多く網羅しています。
その為ブループラーク巡りをすると、普段行かないロンドンを歩くことが出来て、ロンドンの新たな一面を見つける事ができました。
こんな場所のこんな面白いお寺があるのか!
こんな場所のコックニーアクセントで商売をする昔ながらのマーケットがあるのか!
こんな場所にこんな面白い建物があるのか!
などなど、ブループラークで歴史を感じるだけでなく、普段行かない場所での楽しい散策もブループラーク巡りの楽しみの一つです。
ロックダウン中の最適アクティビティ
私がブループラーク巡りを始めたのは、3回目のロックダウンが開始される少し前です。
ロックダウン中にできることと言えばお散歩くらい。でもお散歩と言っても、毎回代わり映えのない近所の同じコースになりがち。
そんな中ブループラーク巡りは最高のアクティビティでした。同じ家の近くでも、いつものコースから外れてちょっと違うルートを歩くきっかけになりました。
また幸い私が住んでいる場所から頑張って歩いていけば、多くのブループラークを見に行く事が出来ました。ちょっと遠くのブループラークを見に行く為の往復合計4時間以上お散歩をすることも。
ロックダウン中の在宅勤務で運動不足になりがちですが、週末に運動不足を解消することが出来ました。
そしてブループラークは住宅地にあるので、お散歩中にあまり多くの人にすれ違わないので、公園にお散歩へ行くよりも安全だなと感じました。
ロックダウン中の自然豊かで大きな公園は、ちょっと不安になるくらいお散歩をしている人が多かったです。みんな考える事は同じで公園に散歩にきていました。
そんな場所を避けながらも楽しくお散歩が出来るブループラーク巡りは、ロックダウン中の最適なアクティビティでした。
街の人との交流も
ブループラーク巡り中、発見したブループラークの前でそのブループラークに関する情報を読んでいると、そんな私たちに興味を持って話しかけてくださる方が結構いました。
時には丁度そのブループラークが掲げられているお家に帰宅する家主さんに会ってお話する事も。
話しかけてくださる方はその地域に長く住んでる年配の方も多く、ブループラークの人物について補足説明をしてくださる事も。
ロックダウンで人との関わりを持つ事がより少なくなっている中で、普段あまり話す機会のない年齢層の方々と少し立ち話ができた事も楽しかった事の一つです。
ブループラークの殆どは知らない人
ロンドンには本当に多くの歴史上有名な人が住んできた事が感じられたブループラーク巡りですが、実はブループラークの多くは全然知らない人ばっかりです。
イギリス人である私の彼は、10個ブループラークを見て1人でもちょっとでも聞いた事がある人がいればいい方かな程度。
日本で育ってイギリスの歴史などをそれほど知らない私の場合は、20個ブループラークを見て1人でも知っている人もしくは知っている出来事に関連する人のブループラークに巡り会えればいい方でした。
正直、誰それって感じの人のブループラークにしか出会わない時もかなり多かったのですが、それでも「へ〜」と思える様な人のブループラークを発見できるのは面白かったです。
ブループラークがきっかけで関連する歴史を調べたり、普段自分の好みだけで得る新しい情報の範囲を越える事ができて、イギリスに関連する歴史だけでなく色々な知識を得られたので、本当にブループラーク巡りをして良かったなと思います。
ブループラーク巡りの仕方
私はロンドンのブループラーク巡りをこちらの本を使って行いました。
その他にもEnglish Heritageによる、Blue Plaques in Londonというアプリもあります。
アプリは最近使いやすくなり、現在はまだ2つしかありませんが、セルフガイドツアーも用意されています。
Blue Plaques of London - Google Play のアプリ
Blue Plaques of London on the App Store
アプリだとブループラークによっては、そこに住んでいた人の名前程度の情報しか載っていなく、なぜブループラークが掲げられているのか、どんな人物だったのかが書かれていないこともあるので、本の方がオススメです。
ブループラーク巡り:まとめ
ブループラーク巡りをしてみて、ロンドンの道に少し詳しくなっただけでなく、イギリスの歴史にも少し詳しくなりました。歴史は知れば知るほど、この出来事とあの出来事、この場所、この人物が繋がっていたのかなどと発見が多いものだと思っています。そのため、これからのイギリス生活で出くわす歴史と関連するものをより楽しめるようになったのではないかと思います。
ロンドンにあるブループラークをほぼ制覇した今ですが、郊外のぽつんと離れたブループラークはまだ見に行けてません。また、毎年新しく設置されているので、ブループラーク巡りには終わりがないように感じます。
これからもまだまだブループラーク巡りを楽しめそうです。